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「美緒さん」
その人の事を名前で呼ぶようになったのは、何時からだったろうか。
少なくとも、夏休みに入る前には気恥ずかしさもなくなっていた。
「夏休みは会えねーの?」
「学校お休みだからね」
「外で会えばいいだろ」
「だーめ。もし誰かに見られでもしたら、ハルくんに迷惑が掛かるから」
「別に、俺は……」
「先生の言うことは聞きなさい?」
そう言っておどけたように笑うから、俺は何も言えなくなってしまう。
俺はこの頃から、少しずつこの関係に不満を抱くようになっていた。
相変わらずその人は旦那と上手くいっていないと言いながら
「昨日は料理を褒めてくれた」だとか
「珍しく早く帰ってきてくれた」だとか
本当に嬉しそうな顔で、報告してくるのだ。
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