【9】黒から白は、生まれない

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「待って下さい、俺は自分の意思で責任を取ります」 「遠山くん」 校長の眉間には、年輪を感じさせるしわが寄る。 「君は責任を取れる立場にないんだよ」 ズン、と鉛が心に落ちた。 そこからじわじわと溢れ出る、苛つき。 「俺はもうガキじゃない! そもそもこうなったのは、全部俺が……!」 「ハルくん」 続く言葉を静止した、柔らかな声。 はっと我に返り、振り返る。 「先生の言うことは聞きなさい?」 ――この人は、こんな時でもおどけたように笑う。 ズルい、ズルい。 俺は何も、言えなくなってしまう。 「親御さんにはこちらから連絡するから。遠山くん、今日はもう帰りなさい」 そう校長に命じられ、俺は納得がいかないまま、渋々学校を後にした。
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