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「待って下さい、俺は自分の意思で責任を取ります」
「遠山くん」
校長の眉間には、年輪を感じさせるしわが寄る。
「君は責任を取れる立場にないんだよ」
ズン、と鉛が心に落ちた。
そこからじわじわと溢れ出る、苛つき。
「俺はもうガキじゃない! そもそもこうなったのは、全部俺が……!」
「ハルくん」
続く言葉を静止した、柔らかな声。
はっと我に返り、振り返る。
「先生の言うことは聞きなさい?」
――この人は、こんな時でもおどけたように笑う。
ズルい、ズルい。
俺は何も、言えなくなってしまう。
「親御さんにはこちらから連絡するから。遠山くん、今日はもう帰りなさい」
そう校長に命じられ、俺は納得がいかないまま、渋々学校を後にした。
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