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次の日の朝、親父は俺の前に現れて
「お前は今まで通り学校に通え」
それだけ言うと、家を出た。
「……だよな」
これで俺は晴れて「無罪」となった。
到底学校になど行く気にもなれなかったが、あの人への謝罪もなしにこのまま別れるのは余りにも卑怯だと思えた。
俺は気怠い体を無理やり起こし、学校へと向かう。
ネットワークの狭い校舎内は、既に俺たちの話で持ちきりだった。
好奇な視線と飛び交う蜚語を流し目に、俺は迷わず保健室へと向かう。
怒られるだろうか。
もう顔も見たくないと、罵られるだろうか。
恨まれても仕方がないと傷付く心の準備をし、そっと扉に手を掛けた。
「……ハルくん?」
その人は荷物の整理をしていたのであろう、手を止めると俺に駆け寄る。
「その口の傷……。ごめんね、私のせいで。おいで、消毒するから」
そう言って戸惑う俺の手首を引くと、定位置だった丸椅子に座らせた。
余りにいつも通りなその態度に、寧ろ不安を覚える。
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