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――急な吐き気に襲われた。
耐えられなくなった俺は、手の中の花束を放り投げ、校舎裏の水道へと走った。
「――ゲホッ、ゲホッ……はっ」
蛇口を持つ手が震えていた。
喉は焼けるように痛み、苦みで全身が総毛立つ。
「なん、だ……今の」
夢か、幻か。
「み、お……さん……?」
俺の知っているあの人は、あんな口調で喋らない。
あんな声で、俺の事を“ハルくん”だなんて――
「……ッ!」
思い出して、また吐き気に襲われた。
何度も何度も吐き出して、空になっても尚、吐き出した。
“ハルくん”
“ハルくん”
俺を呼ぶその声が、毒となって全身を廻流する。
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