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車の中での彼女は、小さな身体を更に縮こめて、全身を強張らせていた。
まぁ、無理もない。
良く知りもしない男の運転する車の助手席に、座らされているのだから。
「服、でかくでごめんな。それくらいしか着せてやれそうなのなくて」
場を和ませようと話し掛けると、彼女は細い肩をピクリと震わせる。
どうやら、かなり緊張しているらしい。
「いえ、気を使わせてしまってすみません」
そう言って俯く彼女の表情が、翳る。
……違う。
俺はそんな顔をして欲しくて、君に声を掛けた訳ではない。
「別に気なんか使ってない。そうやって謝るの、今後一切禁止な」
「えっと……はい。すみませ……」
彼女はしまった、という顔を見せた。
思わず、吹き出しそうになる。
「おい」
「すっすみま……」
そこまで言い掛けた彼女は、頬を染めて更に小さく縮こまった。
いちいち反応が純粋で、困る。
顔が、にやける。
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