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――「分かった? 俺はこういう人間なんだよ」
ハンドルを強く握り直し、助手席に座る彼女に視線を送った。
「軽蔑しただろ?」
彼女は素直だ。
分かりやすく、表情で感情を語ってくれる。
その目は、語り始めに見たモノと同じ。
――混じり気のない、無垢な驚き。
「でも、春樹さんは、その人のことをただ好きだっただけで……」
「好きとか、そんな理由で許される事じゃない」
彼女には、あの人の「本音」を言わないでおいた。
でなければ、彼女はきっとその真白で俺の行いを正当化してしまうだろうから。
……なのに、彼女は。
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