【9】黒から白は、生まれない

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――「分かった? 俺はこういう人間なんだよ」 ハンドルを強く握り直し、助手席に座る彼女に視線を送った。 「軽蔑しただろ?」 彼女は素直だ。 分かりやすく、表情で感情を語ってくれる。 その目は、語り始めに見たモノと同じ。 ――混じり気のない、無垢な驚き。 「でも、春樹さんは、その人のことをただ好きだっただけで……」 「好きとか、そんな理由で許される事じゃない」 彼女には、あの人の「本音」を言わないでおいた。 でなければ、彼女はきっとその真白で俺の行いを正当化してしまうだろうから。 ……なのに、彼女は。
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