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俺は、彼女に言えない事がある。
「久しぶりだな、遠山」
「あぁ、すっかりデキる男になったな、木崎」
「まだまだこれからだよ」
久々の再会を祝したグラスは、キンと心地良い高音を立てた。
昨日梅雨明けが発表されたものの、本格的な夏を間近に控えたこの時期は、じっとりと蒸し暑い。
しかしそれがまた、喉を潤すアルコールを美味くする。
「遠山は今年の春から正式な助教になったんだよな。どうだ、慣れたか?」
「上司が宮守教授だからな、嫌でも慣れるよ」
「はは、相変わらず元気そうだな、教授も」
唯一無二の友人に呼び出されたのは、都内某所のビアガーデン。
平日の夕暮れ時という事もあり、騒がしさもなく意外にも快適だ。
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