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「で、相手はどんな子なんだ? 経緯(いきさつ)は?」
木崎はその性格と職業柄、いつもこうしてカウンセリングを行うように問うてくる。
そして俺の話を吟味し、最後は木崎なりの答えを提示する。
「今年の3月半ば、大雨の中で傘も差さずに立ち竦む彼女を見つけて、声を掛けた」
「へぇ、お前が」
「何を聞いても何も答えないから家に上げた」
「あー、そういう展開か」
「喰ってねぇよ」
「……は!?」
段々、木崎の反応が面白くなってきた。
「どうしちゃったのお前」
「彼女は男を知らない。無垢すぎて抱くイメージも湧かない」
「…………」
あんぐり口は、言葉を失ったらしい。
「彼女はそのまま俺の家に留まることになって、今に至る」
「はぁぁ!?」
そして遂に溢れた驚嘆に、耐え切れなくなった俺はふっと吹いた。
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