【3】これが性悪な俺のやり方

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赤信号に捕まると、チラリと彼女の様子を伺った。 目を丸くしてこちらを見つめる彼女と、視線が交わる。 頬は赤く染まり、口元は小さく歪んでいる。 その何とも言えない表情に誘われて、俺の中の黒い部分が顔を出す。 早く。 そう急かすように、彼女に笑顔を向けた。 「は……はる、き、さん」 辿々しくも、確かに小さく呟いた彼女は、手で顔を覆う。 恥ずかしさのあまりか、目尻には涙が滲んでいた。 ーー何だろうか、この感覚は。 耐え切れなくなって、俺はハンドルに腕を付き、そこに顔をうずめた。 顔がにやけて、止まらない。 世の中には、こんなにも可愛い生き物が存在していたのかとさえ、思う。
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