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やはり日曜ということもあり、ショッピングモールはどこもかしこも混雑していた。
娯楽施設に自ら足を運ぶことなど皆無に等しい俺には、その空気さえも酷く懐かしいものに思えた。
最後に誰かと買い物に行ったのは、何時だっただろうか。
思い返してみても、行き当たる記憶はない。
「優愛、何が欲しい?」
下りエスカレーターの2段上にいる彼女は、俯き、表情を曇らせる。
「あの、わたし……お金が……」
「分かってる。金の心配はいらないから、生活に必要な物全部買って」
「さっ、さすがにそこまでご迷惑はかけられません!」
彼女はここで、大きく意思を見せた。
やはり、人に迷惑を掛けることに酷く抵抗があるらしい。
怯えているようにさえ思える。
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