【3】これが性悪な俺のやり方

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「これで足りる? 相場とか分かんないからさ」 「こ、こんなにいりません!」 「そう? けど、一応持ってって」 「だ、ダメです。受け取れません」 「いいから。あ、ちなみに1枚しか使わないで戻ってきたら……デコピンな」 「デ、デコ……?」 彼女は目を丸くして、眉尻を下げる。 驚きと、困った、という表情をこれでもかと表すから その可愛さに釣られて、こちらも自然と頬が緩む。 「行っておいで。俺も一度荷物置きに駐車場行ってくるから。どれくらい時間欲しい?」 「えと、10分、いえ、5分もあれば……!」 「別に急ぐ必要なんかないから。そうだな……じゃあ、30分後にこのベンチで」 慌てる彼女にそう言い残すと、俺は足早にその場を去った。 そして屋上の駐車場へと向かって、一人エレベーターに乗り込む。
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