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ふと視界に現れた、小さな影。
土砂降りの雨の中、傘も差さずに道の端で小さくうずくまっている。
小柄な体格と、長い髪。
恐らく女性だろう。
気分でも悪いのかと思い、1歩歩み寄る。
するとその人は、徐ろに身体を起こした。
露わになった顔は蒼白で、感情の色を無くしていた。
俺のことが見えていないのだろうか、虚ろな目はただ真っ直ぐ前を向いている。
視線に囚われるように、俺は息をすることさえ忘れていた。
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