【3】これが性悪な俺のやり方

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『遠山くんもさー、早く結婚しちゃいなよー! あの美人の受付嬢とはどうなったの?』 「あぁ、とっくに別れました」 『えぇ!? 勿体無い! なんでそうやってすぐ別れちゃうのかなー』 振られるのだから、仕方が無い。 もちろん、振られる原因が俺にある事も、分かっている。 所詮、相手の女だって俺の容姿に興味があって、付き合いたいと言ってくるのだ。 俺に近付いてくる女は大抵、男を自らのスキルのように、自らを輝かせる為の装飾品のように捉えている。 けれどそれは俺にとっては寧ろ有り難く、好都合だった。 人間とは、そして男とは特に不便なもので。 本能である性の欲求を、自らと切り離して生きて行く事は出来ない。 だから俺は、女と付き合う。 欲求を満たすだけの為に。 愛情なんて、そこには微塵にも存在しない。 本当にクズな人間だと、自分でも熟(つくづく)思う。 『うかうかしてたらすぐ30歳迎えちゃうんだからさー! 誰かいないの? いい子』 「そうですね……」 俺を心から満たしてくれる人など、現れる訳が無い。 ――そう思っていた。 少なくとも、昨日までは。
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