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『わー! これは大事件だよー! そのウサギちゃんとの話、聞かせて聞かせて!』
「そうですね、そのうち」
『えー! いまがイイ!』
本当に、女子か。
「申し訳ありませんが、そろそろウサギの様子を見に行かなくてはいけないので」
『え? 様子を見るって……まさか本当に動物のウサギを拾ったのかい?』
「さぁ、どうでしょうね」
『えー! 遠山くんってばー!』
「教授は早く資料を探して、研究を進めて下さい。論文の期日も迫ってるんですから。では」
『あー! 待ってよー!』
俺は教授の嘆きをそっと受け流し、ディスプレイの赤いボタンにタッチした。
「……本当に、どうかしてる」
いくら相手が教授と言えど、普段ならば踏み切ったプライベートな話など、絶対にしない。
ただ教授がどうのこうの言ってくるから、その都度適当に答えていただけ。
なのに今日は彼女の事を、自ら話したいと思ってしまった。
……俺は今、この現実に
自分が思っているよりも遥かに、浮かれてしまっているらしい。
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