【3】これが性悪な俺のやり方

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「その子は?」 「迷子みたいで……。なんとか泣き止んでくれたんですけど、お母さんが見当たらなくて」 「そうか」 小さな女の子は、俺のことをポカンと見上げている。 母親を見失って不安な精神状態の上、知らない大人の男が側にやってきたら、火に油を注ぐも同然。 「探してくるよ。母親、どんな人?」 女の子に直接聞くのは気が引けて、俺は彼女へ視線を送る。 その意図を察したのか、彼女は女の子へと向き直ると、再び微笑んだ。 「お母さん、何色のお洋服着てたか覚えてる?」 「……しろの、ふわふわ」 「そっか。髪の毛は? 長いかな? 短いかな?」 「……おねーちゃんとおんなじくらい」 「そっか」 彼女はもう一度優しく微笑み、女の子の頭を撫でる。 そしてチラリと、俺を見上げた。 「りょーかい」 俺は彼女に笑みを落とし、その場を離れた。
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