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フロアの端まで歩いたところで、ふと目についた女性。
しろの、ふわふわ。
優愛と同じくらいの長さの、髪の毛。
そして焦った様子で辺りを見渡す、その姿。
「すみません」
俺は迷わず声を掛けた。
「もしかして、娘さんをお探しですか?」
突然声を掛けられたことに驚いたのか、はたまた違う理由でか、母親らしきその人は薄く頬を染めて、目を丸くする。
「そ、そうなんです。娘を、カナを見かけたんですか?」
「はい、娘さんで間違いないと思います。連れが保護してますので、案内します」
「すみません……! ありがとうございます!」
女性はその場で、深々とお辞儀をする。
やがて上げた顔のその目には、うっすらと涙が滲んでいた。
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