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女性を連れてベンチに戻ると、女の子は一目散にこちらに向かって走ってきた。
「ままぁー!」
「カナ!」
女性が駆け寄ってきた女の子を抱きしめると、女の子は緊張の糸が切れたように、わんわんと泣き始めた。
その姿を遠目から、ほっとした表情で見守る彼女。
「よかったな」
「……はい」
その横顔は、やはり穏やかで柔らかい。
けれどどこか遠くを見つめるようなその瞳には、何か特別な感情と、違和感を感じる。
抱き合う母子の姿に、彼女は何を想うのか。
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