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そう。
俺が親父想いなんじゃない。
親父は俺を放ったらかしにして生きてきた償いを今更していて、俺はただそれに応えているだけ。
けれどそれを彼女に伝えたところで、その白すぎる感性には到底理解出来ない事なのだろうと判断し、それ以上は何も伝えなかった。
出来る事なら、彼女には人の汚い部分など知らないまま、生きていって欲しい。
「優愛のことも、少し教えて」
だからこれ以上、俺の黒い部分に触れてしまう事のないように、今度は彼女自身へと話をすり替える。
彼女は少し戸惑ったものの、自分の話をする事自体にはそれほど抵抗が無いらしい。
けれど余計な詮索はしないよう、重々配慮しなければならない。
何かに怯える彼女の姿は、もう見たくない。
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