【4】今の俺なら、君を上手に愛せるだろうか

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それまでの俺の日常は、朝の憂鬱な気分から始まっていた。 俺はいつもの様に、大学へ向けて車を走らせる。 そしていつもの様に適当にラジオを選んで、聞き流す。 今日の俺が選んだ番組は、陽気なパーソナリティがキャッチーなJ-POPを紹介する歌番組。 ……そこで気が付いた。 俺は、相当浮かれているのだという事に。 「手料理、か」 自らの意志をあまり見せない彼女が、譲りたくないと強く願い出た。 朝食と夕食を、作りたいと。 彼女は料理が得意なのだろうか。 もしそうだとしたら、若いのに大したものだ。 まぁ別に、不味くても構わない。 俺の為に彼女が何かをしてくれるという事実だけで、正直腹は満たされる。 車内を取り巻くアップテンポに誘われているのか、今日はやけに頬が緩む。 「教授、今日は早く帰らせて下さいね」 意味もなくそう呟いて、念を送っておく事にした。
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