6449人が本棚に入れています
本棚に追加
/678ページ
ありえない。
俺が、彼女と、結婚?
まだ出会って間もないというのに?
「えぇ!? 遠山くん、そのウサギちゃんを逃したら、絶対この先結婚できないよ!」
「あぁ、それも肯定します」
「自覚あるなら尚更じゃないかー! 君がその気になれば、どんな女の子だって簡単に手に入っちゃうんだからさ!」
そういう訳にもいかないんですよ、教授。
彼女はあくまでも、カミサマからの借り物。
いつ消えるかも、分からない。
そんな曖昧な存在に、これ以上深入りしてはならない。
それに意地の悪いカミサマが与えた障壁も、無視出来るものではない。
「とりあえず、今は何もしませんよ。教授、そんな事よりさっさと仕事を片付けましょう」
「えぇー! 気になって仕事も研究も手につかないよ!」
「それはやめて下さい。ウサギがお腹を空かせて待ってるので」
正確には、ウサギがお腹を空かせた俺を、待っているのだけれど。
「……そっか! よし、ならさくさくーっと終わらせちゃおうね! あぁ、授業がないって最高だなぁ。研究に没頭できるよー」
教員らしからぬ発言が見受けられたものの、俺にとっては慣れたボヤキなので、スルーしておく事にする。
最初のコメントを投稿しよう!