【4】今の俺なら、君を上手に愛せるだろうか

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彼女も俺の意見に安心したのか、ほっと目尻を落とす。 その表情を見て、こんな嫁なら悪くない、なんて思いながら、俺はかぼちゃの煮物へと箸を進めた。 期待と見た目を裏切らず、やはりそれも美味だった。 彼女が作る少し甘めの優しい味付けは、どんな高級料亭であっても勝ることは出来ない味なのだろう。 「うん、うまい。俺、この味付け好きだよ」 彼女に感謝や労いの言葉を送りたいのだけれど、何しろこの状況に慣れていない俺には、「うまい」以上の言葉は見つからなかった。 そして今、俺が感じているのは、満足感よりも幸福に近い。 ついでにそれも感じ取って欲しくて、彼女に微笑みを向けた。 視線が交わると、彼女は一度目を見開き、静止した。 そして柔らかに目尻が落ちて、口角がゆっくりと弧を描く。 「ありがとうございます」 頬は淡いピンクに染まり、瞳は微かに潤む。 ――それは俺に向けられた、初めての「笑顔」だった。
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