【5】独占欲は、どこまでも俺を黒くする

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青に溶けない薄桜。 儚さに、潔さを感じる演舞。 ――季節は移ろい、迎えた春。 慶びの笑顔が咲くこの日。 「よー遠山! 今日もイケメンだなぁ!」 「熊井先生こそ、今日は一段とダンディですね」 「あははっ! お前に褒められると嫌味にしか聞こえねーなぁ! あースーツなんてかったりーよ」 熊井先生は今日行われる入学式の、誘導班を統率する責任者。 つまり俺は今日一日、彼の駒になる訳だ。 「まっ、国立大学とだけあって、みんないい子ちゃんばっかだからな。なんも騒ぎは起きねーだろうし、適当に頑張ってくれよ!」 「はい」 熊井先生は体育教員という事もあり、見た目も中身も超体育会系だ。 その性格ゆえ、学生たちの間では『鬼のクマさん』と呼ばれているようで、名付けた人物には中々のユーモアセンスを感じる。
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