【5】独占欲は、どこまでも俺を黒くする

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「つっても遠山。お前は今日一日サボってもらっても構わんぞ」 「どういう意味でしょうか」 「お前が講堂の入り口にでも立ってみろ。新入生の女子たちみーんなお前に惚れちまうぞ」 「ご冗談を」 「俺はいたって本気だ。お前、学内では極力目立たないように行動してるつもりかもしれないが、そのルックス、嫌でも目立つんだよ」 「私に忍者になれとでも?」 「おぉ、そうだな! 今日は一日忍者やってろ」 「……では、具体的な命令を頂けますか」 「よし、じゃあ構内にクセモノが居ないか見回りしとけ。くれぐれも身を隠しながら、だぞ」 「かしこまりました。では早速、偵察に行って参ります」 「おー! 女子に見つかって騒がれんなよ! 面倒はゴメンだからな!」 熊井先生はこれでもかと満面の笑みを浮かべながら、俺に圧力を掛ける。 要はどんな小さな火種でも、取り除いておきたいという事だ。 統率者として、実に賢明な判断だと思う。 俺は熊井先生の命令に大人しく従い、構内を適当に巡視する事にした。
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