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「優愛」
愛しいその名を呼ぶと、長い髪を揺らして君は振り返る。
見開かれた目に映っているのは、この世界を彩る無数のピンク。
「講堂、こっち」
声を掛けると、みるみるうちにその表情は柔らかく変化していって
比例するように疼く、俺の中の欲情。
「春樹さん!」
俺の名を呼んで、微笑みながら駆け寄ってくる彼女は
汚れを知らない、真っ白なウサギ。
「大学まで迷わず来れたのに、構内で迷ってたら意味ないだろ」
「本当ですね。危うく通り過ぎてしまうところでした」
ピンクに染まった頬を見て、本当に綺麗だと思う。
君は真っ白なキャンバスだ。
これからそこに、無数の色が乗せられる。
彩られたキャンバスは、より一層美しさを増して、生きていく。
――そんな未来を想像しながら、彼女の顔を覗き込んだ。
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