【5】独占欲は、どこまでも俺を黒くする

7/16

6450人が本棚に入れています
本棚に追加
/678ページ
「それより、顔が赤いけど何かあったのか? 風邪か?」 俺の問いかけに、彼女は更に頬を染めて否定した。 ……そんな反応をされたら、疑わずにはいられない。 まさか、もう誰かに言い寄られたのだろうか。 こんなにも可愛らしいのだから、それも十分に有りえる。 けれど残念ながら、今は問いただしている時間もない。 もうすぐ式が始まる。 俺は彼女と一言二言会話を交わした後、急ぐように促した。 そして慌てた彼女が俺の横を通り抜ける、その瞬間 ふわりと舞った香りに、俺の自制心がゆるりと解かれた。 「優愛」 再びその名を呼ぶと、先程と同じように、彼女は長い髪を揺らして振り返る。 「スーツ、似合ってる。……可愛いよ」
/678ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6450人が本棚に入れています
本棚に追加