【5】独占欲は、どこまでも俺を黒くする

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「お前には関係ない」 彼女が関わってくるならば、話は別だ。 「へー? 随分と心許してるように見えたな。女には深入りしないタイプだと思ってたけど」 迂闊だった。 よりによって、十夜に見られてしまうとは。 「いいから、それよりも早く式に向かえ」 「もう過去のことはいいのかよ」 その言葉に、反射的に揺れる感情。 「なぜ、十夜がそれを知ってる」 大人げなくも、苛立ちを視線に乗せてしまった。 「聞いてもねーのにクソ親父がベラベラ喋るんだよ」 「……なるほどな」 そういう事、か。 なら、俺もおあいこだ。 俺も散々、十夜の事について聞かされてきた。 反抗的な態度が、昔の俺にそっくりだと。
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