【5】独占欲は、どこまでも俺を黒くする

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越えてやる、の意味はそのままで 十夜は血では抗えない兄弟という立場を越えて、俺に勝ちたいのだろう。 俺の母親は、親父にとって戸籍上の本妻。 対して十夜の母親は……愛人、だ。 その運命が十夜を苦しめてきたのは事実だ。 俺や親父を疎むのも、十分過ぎる程納得がいく。 それはそれで、構わない。 寧ろ俺自身は、敵意を向けてくる十夜に可愛らしささえ感じている。 例え腹違いだとしても、十夜は血を分けた弟である事には変わりない。 「……こっそり出席にしといてやるよ」 去っていく背中にそう呟いて、俺は講堂に向かって歩いていく。
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