【5】独占欲は、どこまでも俺を黒くする

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薄桜が舞う姿を見て、過(よぎ)る記憶。 ピンクに染まった彼女の頬。 俺の直感が正しければ、彼女と十夜は既に接触している。 そこで何があったのかまでは分からないが、彼女の様子を見る限り、早急に対策を取らなければならない程の事でもないのだろう。 けれど今後、十夜が俺に対する敵対心の矛先を、彼女に向けるのだとしたら。 それだけは何としてでも、阻止しなければならない。 その理由は単純明快であり、至極不純。 彼女を取られたくないからだ。 独占欲は、どこまでも俺を黒くする。 彼女は俺のモノでも何でもないのに 手に入れる覚悟も無ければ、資格も無いのに それでも彼女が他の男の手に渡る事だけは、我慢ならない。 簡単に言えば いや、だ。 ……これでは駄々をこねている子供と、何ら変わりないな。 俺の性悪は、どこまでも意地が悪い。
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