【6】君を縛り付ける為の約束を

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教授がオリエンテーションの為に研究室を出て、約40分。 仕事が一段落した俺は、そういえば、と教授のクラス名簿のデータを開き、それを眺める。 もちろん、新入生のクラスは入学前に既に決まっている。 名簿を開くのは、今日で二度目。 初めて目にした時に覚えた落胆が、再びぶり返す。 「……どこまで奇跡なんだよ」 低い声を、吐き出す。 けれど何を言ったって変わらないのが、現実というモノだ。 名簿の先頭には、「藍崎優愛」の文字。 そしてマウスホイールをカチ、と1つ滑らせて現れたのは、「片柳十夜」の文字。 極力避けて通らせたかったのに、何故こうもカミサマは意地が悪いのか。 彼女という贈り物を授けておきながら、簡単には手に入れさせない。 カミサマには感謝こそしてるものの、ここまでくると恨みたくもなる。
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