第1章

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門を通り、 中へと入る。 木々が左右連なっている。 花や木は、手入れが行き届いていて、 雨でキラキラと光っている。 玄関前に着いた。 薄水色の傘を少し左右に振って 水を飛ばしてから 傘立てに直した。 玄関の引き戸に手をかけ カラカラと軽い音をたてて 引いていく。 「……ただいま、帰りました……」 そう言うと、 私の存在に気づいた使用人 達が二列に別れ、声を揃えて 『お帰りなさいませ、しずか様』 と先言語礼をした。 靴をぬぎ、 用意されたスリッパを履いて 自室へと行こうと 二列の間を進んでいき、 中庭へと進んでいく。 その間に たくさんの部屋を横目しながら 通りすぎようとした時 その部屋の襖が開いた。 黒と茶色が混ざった変な髪色を 軽く巻いて ブルーのアイシャドウを たくさん付けて、 真っ赤な口紅をして 派手に肩などを出した 服に真っ黒な足首まであるスカート。 その足や きらびやかな指輪を付けている 指先には 真っ赤なマニキュアが目立っている。 「……あら、帰ってきたの?」 女性では低い声だと思う声 「……ただいま帰りました、麗子さん」 思わず視線が床へと下がってしまう。
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