第一章 髪結い

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しばらくすると近くの長屋の方から男の怒鳴り声が聞こえてきた。 「また来たのかこのクソガキ!!どっかいけ!」 長屋の裏手の方から子供が一人放り出された。 突き飛ばされた子供が、砂の上に尻餅をつく。 薄汚れた子供だ。 歳は九つか十くらいだろうか。 ボロボロの着物に黒ずんだ肌。 髪もボサボサで、何の汚れか知らないけど、ところどころ髪の毛が白くなっている。 やせ細っていて体の弱そうな子だ。 見た目の様子からすると乞食(こじき)か。 恐らく物乞いに行って追い払われたんだろう。
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