第二章 町方同心

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あれからしばらく経つというのに、俺は未だに奉公先も決まらずブラブラとしていた。 口入屋以外に仕事のアテはないので、毎日店に通っては仕事が来たかどうか確認している。 今のところ俺にできる仕事はきていないそうだ。 「お~い」 声のする方を見ると平八が嬉しそうに走ってきた。 今朝から髪結いの仕事でどっかの屋敷に行っていたはずだが、もう帰ってきたのか。 「今日のお客は、すぐ近くの屋敷だったでやんす」 そう言って平八は、俺の隣に来て手に持っていた袋を開き始めた。 ?? 何を出すのだ? 乞食の子供が興味深そうに平八の袋を見る。 食べ物だと思っているようだ。
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