第二章 町方同心

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すると平八は灰色の小さな着物を出した。 そして乞食の子供の背中に当てる。 「ほら、ピッタリだ」 どうやら今日のお客さんに、平八のところの子供にと、お下がりの着物を貰ったようだ。 古いけど、随分と上等な着物だな。 「うちのせがれは体が大きいからね、この着物は入らないんだ」 そう言いながら乞食の子供に渡した。 子供は戸惑っている。 服を貰ったのは初めてのようだ。 「よし、じゃあ風呂にでも入りにいくか」 汚いまま着させるのは可哀想だから、一度湯屋に連れて行ってやることにした。
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