第二章 町方同心

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何度もこすって流しているうちに、子供の素顔が明らかになっていく。 意外と顔立ちが整っていて、いい顔つきをしている。 将来はいい男になりそうだな。 そして髪を洗い流してやると !! これは驚いた。 この子供、髪が白髪なのだ。 全体的には真っ白い毛で、中には少し黒が混ざって銀になっている毛もある。 生まれつきだろうか。 若白髪は珍しいな。 それに毛が硬くゴワゴワしている。 「そういえば坊や、名前は何て言うでやんすか?」 平八が尋ねると、子供は困った顔で首を傾げた。 自分の名前がわからないようだな。 「じゃあ俺が名前を付けてやろう」 俺がそういうと、子供は嬉しそうに俺の方を振り向いた。
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