第二章 町方同心

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2-2.町方の閻魔(えんま) 銀太に着物を着せてから三人で俺の家に戻って来ると、玄関前に見知らぬ者が立っていた。 黒い羽織を着た恰幅のいい男だ。 肌の色は浅黒く、背丈はそれほど高くないが、横幅が広いので大きく見える。 近くまで行くと、男はこっちを振り向いた。 ボンと出た大きなおなかが揺れる。 腰に十手を差している。 町方の役人のようだ。 「お主がここの……ばけものこんじ?の原田龍志郎殿か?」 役人らしき男は、玄関に張り付いている看板を見ながらそう言った。 平八が間違えて書いた看板だ。 まだそのままにしてるのを忘れてた。
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