第二章 町方同心

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ばけものこんじって……。 まあ、確かにそう読めなくもないが。 「そうだが何か?」 化け物ナントカは関係ないが、一応名前は俺のことなので聞いてみる。 恰幅のいい役人は、ギョロリとした目で俺を下から上まで見た。 妙な威圧感だ。 役人の太い眉がピクリと動く。 そして大きな声で 「ふむ、そうか!わしは町方同心の近江勇次郎と申す!!」 両手を腰に当て、そう言った。 同心といえば、事件の調査や捕り物なんかをする役人だったな。 平八が顔を青くして 「ちょっと、ちょっと、ちょっとお侍さん!何やらかしたんだよ??」 と俺に聞いてきた。 人聞きが悪い。 俺は役人にしょぴかれるようなことをした覚えはないが。
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