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顔を上げると近江殿が困った顔で俺を見ていた。
「俺にもわからん」
とりあえず正直な意見を答えておいた。
「むむう……先生にもわからんときたら、やはり物の怪の仕業ではないのか」
近江殿は難しい顔で呟く。
どうやら先生とは、やはり俺のことだったようだ。
近江殿の話によると、この謎の変死体が、ここのところ続けて発見されているらしい。
これで三件目だという。
近江殿は普段、窃盗や強盗などの事件を担当しているので、殺人や変死の事件には、あまり詳しくはないと話している。
先日の髪切り魔事件で、変死や殺人事件を担当していた同心が亡くなったため、急きょ近江殿が担当しているそうだ。
ひょっとして
俺が斬ったあの男のことだろうか。
微妙に責任を感じる。
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