第二章 町方同心

16/53
前へ
/1534ページ
次へ
近江殿は頭を抱えている。 急に殺人事件の担当になって、本当に困っているようだな。 何とかしないと……。 担当を斬り捨てたのは俺のようだし……。 俺はもう一度死体に近付き、近江殿と同じように膝を曲げじっくりと観察した。 問題はこの白い糸だ。 試しに触ってみると、何だかネバネバしていた。 とても人工的に作られたもののようには思えない。 近江殿は同じように糸に触り、こう口走った。 「むううう、まるでクモの糸のようだ」 ?? その言葉が俺の頭の中の何かに引っかかった。 クモの糸……。 前に龍之介から聞いた話を思い出した。 『獣の泉』の話だ。
/1534ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4203人が本棚に入れています
本棚に追加