第二章 町方同心

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ひょっとしてこれは、髪切り魔の時と同様、獣の泉の話が関係しているというのか? いや、まさか。 そもそも助六という髪切り魔の件も、獣の泉の話と決まったわけではない。 しかし、仮にそうだとしたら……。 これはクモの獣?とかカイコの獣?に魂を喰われた者の犯行ということになる。 考えただけで背筋がゾゾっとした。 だが、俺の中の直感が、間違いなく『そうだ』と言っている。 嫌な汗が額から噴き出してくる。 髪切り魔の他にもあんなもんがいるとしたら……。 近江殿はその様子に気付いたようで 「龍志郎殿、どうかしたのか?顔色が悪いぞ」 「いや、大丈夫だ」 俺は平気な顔を装った。
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