第1章

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第一話『小金沢松子 登場』  彼女は転校生として、この学校にやって来た。  そして、その転校生がこの学校を震撼させることになるとは、誰も知るよしもない。  その日の朝、クラスは転校生が来るという話で賑わっていた。 高校2年生で、常に刺激を求めている私たちにとって、転校生の話題は、久しぶりのビックサプライズ。 夢見がちな男子生徒は、 『絶対、かわいい子だよ』 『やべー、惚れられたらどうしよー』 『ちょっとコンドーム買ってくるわ』 などと妄想を膨らましたり、 『俺、今日駅前で見かけたぞ』 『外人だってよ!ナタリーって名前らしい』 などと、信憑性の薄い情報を流がして盛り上がる。 中には、 『転校生は俺の妹なんだ』 と、意味不明な嘘をつき殴られている男子もいた。  私は、そんな男子達のお祭り騒ぎを机に肘をついて見ていたが、本当に男子ってバカだなと心から思う。 その一方で、そんな単純さが羨ましかった。 女子はそんな単純ではない。 表面では、 『いい子だといいねー』 などと笑顔で、場を盛り上げるが、 本当の気持ちは違う。 女子の誰もが思うこと。 それは相手が自分より可愛くない子でありますように、 そう心の中で願っているのだ。
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