第1章

5/5
前へ
/5ページ
次へ
異質なものに人は恐怖を抱く。 私も、その恐怖を抱きつつ、 彼女は決してイジメられないだろう、 と思った。 どんなに変な外見をしていても、 あれだけの意志を秘めた目を持つ人間は、イジメられることはない。 私にもそれだけは分かる。 つまり、私は転校生によって救われることはなく、 また、私はイジメられ、 キツくて、なんの光もない学校生活がまた、続くのだ。 小金沢松子は私の後ろの空いていた席に無言で座った。 私は、振り向くこともせず、 泣けるなら、この場で泣きたかった。 転校生に、一番期待していたのは、 妄想がちな男子生徒ではなく、 私だったのかもしれない。 高校2年生の1学期。 春の穏やかな日差しが教室に差し込み、花の香りを風が教室に運ぶ。 風にゆらめくカーテンはとても幻想的で美しかった。 そんな春の教室で、 私は、小金沢松子と出会った。 そして、 これが、始まりだった。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加