序章-滅亡の狼煙-

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2017年3月27日 午後10時48分 大阪府.大阪市.天王寺区 「おったぞ!こっちや!」 「待たんかいコラァ!」 既に日は沈み、暗闇に覆われている大阪市天王寺区。 静寂が支配する住宅地で、突如怒声が響いたのはたった今のことだ。 続けて響いたのは、ドタドタとアスファルトを蹴りあげる複数人分の足音。 およそ5、6人と言ったところだろうか。 そしてその足音達が追い掛ける先でも、一人分のアスファルトを蹴りあげる音が響いていた。 その足音の主である男は、息を荒げながらもボストンバッグを抱えて懸命に背後に迫る集団から逃げる。 彼は公園を見つけると咄嗟にそこへ入り込んだ。 公園内に生い茂る草木を利用して、追っ手の目から逃れようという魂胆のようだ。 だが…… 「ええ加減に……せえよ!」 後から追い掛けてきた内の1人が、隠れようとしていた男へ飛び付いた。その衝撃で、抱えられていたボストンバッグが宙へ投げ出される。 二人はそのまま勢いに身を委ね、地面へと倒れ込む。そこへ続いて到着した屈強な男達が、次から次へとそこへのし掛かった。 同時に宙へ投げ出されたボストンバッグも地面に打ち付けられ、衝撃で中身が辺りにぶちまけられた。 中から、幾冊もの古い書物が放り出される。
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