62

3/8

276人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
「いや、それはぼくにもわかる。おたがい困り者の父親をもつと苦労するな」  テルがジョージをにらみつけた。 「逆島中将とおまえの親父(おやじ)をいっしょにするな。名誉の戦死を遂げておられるんだぞ」  暁島会か。あまりにも熱烈な支持は困ったものだ。テルは重ねていう。 「おれも実家に帰らなきゃならないから、タツオのことはおまえに頼んだぞ、ジョージ。こいつになにかあったら、許さないからな」  頼んでもいないボディガードが、ジョージを脅(おど)していた。テルの身体は分厚(ぶあつ)く、身長は低いが体重は90キロを超えている。ジョージのボクシングとテルの柔道なら対決すると、どちらに分があるのだろうか。いつか見せつけられた電光のコンビネーションを思いだすと、ジョージの勝利は揺るがないような気がする。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

276人が本棚に入れています
本棚に追加