夢に咲く花

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「ある時は、僕は白い部屋にいます。 壁も床も天井も、何もかもが 白い部屋です。 室内に1つだけある窓から、 色のついた花が咲いているのが 見えます。 僕がその花に見とれていると、 ドアから、1人の男が入ってきます。 黒いスーツを着て、表情のない、 白い仮面をつけた男です。 男は、抱えている子豚を床に下ろし、 餌に混ぜて部屋の鍵を食べさせます。 その後、1本のナイフを僕に手渡します。 ドアの鍵は外と内とが逆になっています。 男が部屋を出て、外からガチャリと 鍵をかけた音がすると同時に、 室内に置かれた時限爆弾のタイマーが 動き始めます。 僕は与えられた1分間で、 その子豚を必死で捕まえようとします。 子豚は必死で逃げ、タイマーの時間は 容赦なく減っていきます。 残り30秒を切ったところで、 僕は子豚を捕まえます。 そして持っているナイフで、 子豚の腹を切り裂いて、 黒い内臓の中に手を突っ込んで、 鍵を取り出します。 残りは10秒… 僕はもつれる足でドアまで走り、 震える手で鍵を開けて、 ドアの外に出ると同時に、 大きな爆発音が聞こえて、 そこで僕は目を覚ますのです」 男の目は、ずっと床を眺めている。
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