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「またある時は、
僕は線路の真ん中にいて、
足を鎖で繋がれています。
やはり線路脇に、花が咲いています。
仮面の男が現れます。
男はそこにテレビとゲーム機を置き、
僕にコントローラーを渡します。
音楽にのって落ちてくる星に合わせ、
タイミングよくボタンを押すという
単純な音楽ゲームです。
ゲームをクリアすると鎖が外れる、
僕はそう理解します。
ゲームの音楽は徐々に早く、
難しくなっていきます。
その時、踏切がカンカンと鳴り始め、
遮断機が動き始めます。
遠くに電車の音が聞こえます。
ゲームは途中で失敗をすると、
また初めからやり直しです。
電車の音が近づいてきます。
焦った僕は何度も失敗し、
最初からやり直します。
走ってくる電車がもうそこに見えます。
警笛が、すぐそばで聞こえます。
僕は必死でテレビ画面を見ながら、
ボタンを押します。
線路がガタガタと、振動します。
やっと最後のボタンを押して、
鎖が外れます。
電車はスピードを落とさず、
僕の目の前まで来ています。
僕は思い切りジャンプをして、
線路の脇に転がります。
そして、目の前を走り過ぎる
電車を見ながら、
僕は目を覚ますのです」
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