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「今日はそこの大学を訪ねてきたんだ」
そうだったんだ。
「この公園を覗いてみたら、美耶が泣きながら空を見ていて……って、なんで泣いてたんだ?」
「え!」
どうしてだっけ?
頭の中で時間を巻き戻してみる。
……あ、そうだ。
最初は達哉と言い合った時の涙だった。
でもこのブランコに座って空を見上げたら、達哉との過去と綺羅とのこと、すべて忘れたいって涙が止まらなくなった。
「美耶?」
「……忘れた」
「は? 忘れたの?」
「うん」
わざわざ言う必要ないもんね。
「そっか」
綺羅はどこか納得していないような顔をしていたけれど、それ以上は訊いてこなかった。
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