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あたしも綺羅の背中に腕を回してぎゅっと抱きついた。
「美耶の心臓、すげぇ」
やっぱり伝わっているんだ。
慌てて綺羅の胸を押す。
「はは、慌てすぎ」
「だって……」
この音が直に伝わっているなんて、恥ずかしすぎるんだもん。
そういえば、
「綺羅はどうしてここにいるの?」
「美耶を探しに来た」
「え、あたし?」
それはあり得ないことだと思っていたから、凄く吃驚した。
「ん、美耶が電話に出てくれなくて。そしたら俺、美耶のことを何も知らねぇことに気付いて」
確かに。
お互いに名前と年くらいしか知らない。
「毎日、出会った時間に出会った場所で待ってみたり、いろんな大学を訪ねてみたり。とにかくストーカーみたいなことをしていた」
綺羅はそう言って苦笑する。
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