もう一つの証-2

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渉さんは私をギュッと抱きしめる。 「何だよ。今日はやけに素直だな」 私たちは目を合わせて笑った。 「そういえば…室長と祐子ちゃんには…悪いことしちゃいましたね…」 私がその話題に触れると、渉さんもため息をついた。 「マジで…悪かったな…」 「月曜はちゃんとお詫びしなきゃいけませんね」 「ああ…そうだな」 そんな会話をしていると、急に眠気が襲ってくる。 渉さんの体温がほど良くカラダに染みて来たのだ。 「眠いのか?」 「…少しだけ…」 「少しって、もう寝そうじゃねえかよ」 「だって…」 「まあいい…。望愛…またやり直しだ」 「…やり直し…?」 言いながら思考がぼんやり霞(カス)む。 「ああ…また今度」 渉さんの声が… 夢の中で聞こえてるみたいだった。
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