もう一つの証-2

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はっきり言って、彼女の言動は不愉快だった。 無責任な言葉を振りまく彼女は好きになれない。 彼女は祐子ちゃんの背中側。祐子ちゃんの視界には入らないのでそれだけが救いだった。 出なければ席を移っていたところだ。 私も出来るだけ彼女を視界に入れないように、週末を埋め合わせるように祐子ちゃんと話をした。 定食が残り半分になった頃、食堂内が一瞬ざわめく。 何だろうと顔を上げると食堂の入り口付近に渉さんの姿を見つけた。 あれ…? 午後の来客対応が終わってから、ゆっくりお昼にするって言ってたのに…。 私はから揚げを頬張りながら渉さんを目線で追った。 すると、渉さんの後ろから… 室長もやって来て、渉さんに何やら耳打ちして辺りを見回す。 そして… 誰かを探している素振りの室長と… 目が合った。 探し人は… 私だったらしい。
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