もう一つの証-2

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プレートに綺麗に盛り付けられたデザートを分け合いながら 気になってたことを聞いてみる。 「渉さん…。今日の帰りって…」 …確か 帰らないって…言ってたような気がするけれど… 「今日は帰らねえよ」 …やっぱり、聞き間違いじゃない。 「この店の裏に離(ハナレ)がある」 「ハナレ…ですか?」 「ああ、ちっこいペンション風」 …ウソ…。 「今日はそっちも予約済み」 その時、厨房から草薙さんがやって来る。 コーヒーのいい香りと一緒だった。 「ちっこくて悪かったね」 「あ、聞こえてましたか?」 「耳はいいんだよ」 そう言いながら草薙さんはテーブルにコーヒーを置いて微笑む。 「…あっちは準備してあるからいつでもいいよ。二人でゆっくりするといい」 「ありがとうございます」 渉さんが答えた。 「…すみません…ありがとうございます」 私もあまり事情がのみ込めないまま渉さんに続いてお礼を言った。
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